睡眠の質と慢性疲労について
突然ですが、皆さんは睡眠の質について意識したことはありますか?
・朝起きても疲れが取れていない。
・夜中に何度も目が覚めてしまう
・寝つきが悪い。
このような経験は多くの人がしていて、これが当たり前になっている人も多いと思います。明らかに睡眠の質は良くない状態ですよね。
睡眠は時間ももちろん大切ですが、質もとても重要になります。睡眠不足が何日も重なり慢性化している状態を、最近では『睡眠負債』と呼ばれるようになってきています。
睡眠負債は日常のパフォーマンスを下げるだけではなく、健康リスクにも多く影響を与えていくと言われています。さらに、溜まってしまうと数日間のしっかりとした睡眠だけでは解消されず、寝だめをしても防ぐことができないと言われています。また、睡眠は慢性疲労とも関係性が強く、慢性疲労の状態において、居眠り回数の増加、睡眠時間の延長、中途覚醒回数の増加が有意に認められるという研究結果もあります。
慢性疲労がどういう状態なのかを定義していくと、
「6ヵ月以上疲労が続き、一晩寝ても疲れがとれない」
状態のことを指します。
現代の日本人の3人に1人が慢性疲労を訴えていると言われており、日本は多くの人が慢性疲労状態になってしまっている慢性疲労大国なのです。
慢性疲労になると、
・思考力、集中力の低下
・うつ症状
・睡眠障害
などがみられるようになってきてしまいます。
つまり、睡眠の質が低下し、睡眠負債がたまってくると慢性疲労に繋がっていきますが、慢性疲労になることで、睡眠障害にもつながってくるのです。
この負のループに入ってしまうと、抜け出すのが難しくなってきてしまいます。ではなぜ、睡眠の質が低下してしまうのか?
睡眠の質を悪くする要因で一般的に言われているのが、
・就寝前に食事をとる、入浴する
・就寝前にテレビ、パソコン、携帯をいじる
などが考えられます。
なぜこれらが睡眠にとって良くないのでしょうか?
なぜパソコン、iPhoneはいけないのか
パソコンやiPhoneなどをいじるとブルーライトが目の網膜から光のセンサーである視細胞に刺激が入り、神経節細胞を経由して脳へと信号が送られていきます。この神経節細胞は青い光を感じ取ることができ、その信号が視交叉上核にある体内時計を調整していると言われています。そしてその体内時計は強い光を浴びることでリセットされるのですが、夜に青い光を強く浴びてしまうとリズムが狂ってきてしまうのです。
●なぜ就寝前の食事、入浴がいけないのか
人間には主に直腸で測る『深部体温』、皮膚で測る『皮膚体温』があるのですが、入眠時には深部体温が下がっていき、皮膚体温が上がると言われています。入眠前に食事をとると胃が消化のために活動を始め、深部に血液が集められてしまいます。そうすると、中心に熱がこもってしまい、末端、つまり皮膚に血液が行き渡りにくくなり皮膚体温が上がりにくくなってしまいます。入浴も同様に、身体を温めて深部に熱がこもってしまうと、深部体温が下がりにくくなり、睡眠時に必要な体温調節が行われなくなってきてしまいます。
簡単に説明を行なってきましたが、一般的に言われていることが、なぜ睡眠の質に影響を与えるのか少し理解いただけたでしょうか?
これらが改善できれば、睡眠の質は少なからず変わってきます。しかし、これらは外部的な環境の影響が強いため、毎日徹底していくのは難しい現状があります。その中で、睡眠の質を上げていくためにはどうしたらいいのか?自分自身で変えられるものをご紹介していきます。
まずは、人間の身体にはホルモンというものが存在するのですが、睡眠に影響を与えると言われているのが、コルチゾールとメラトニンです。
メラトニンは睡眠ホルモンと言われ、夜になると分泌量が増加し、目を覚ますと分泌量が減少していきます。反対にコルチゾールは夜になると分泌量が減少し、日中になると分泌量が増加していくと言われています。このホルモンの分泌が上手く行われることで、睡眠のリズムができ、良い睡眠に繋がっていきます。そしてそのホルモンは、自律神経によって調節されているため、自律神経を整えることが睡眠の質を上げるための重要なポイントになります。
その自律神経を整えるために、
・満腹度合いは腹8分目
完全な空腹状態は、交感神経を刺激してします。逆に食べ過ぎてしまうと、上記でお話ししたようになってしまうため、その間である、腹8分目を目安に食事をすることが大事になります。
・入浴はぬるま湯で
人間にはホメオスタシスという機能を持っており、ホメオスタシスは状態を一定に保とうとする働きのことを言います。体温が上がりすぎると下がるまでに時間がかかりますが、ぬるま湯になることによって、体温を上げ過ぎず、程よく体温を上げることが出来ます。それにより、体温が徐々に下がっていきながら、自然と入眠が出来るようになります。
これらは、睡眠前の自律神経を整えるのに効果があります。これ以外にも、自律神経はどういうものなのか、どうすることで整えることができるのか?を知ることで睡眠の質を上げていくための工夫をご自身でも見つけていくことが出来ます!
さらに自分自身で調節できる環境設定として、
・マットレスの硬さを柔らか過ぎないように
一般的に就寝してから起床するまでに、寝返りを20~30回行われていると言われています。寝返りは、寝具と接している背中などの体表にこもった湿気を逃して風通しをよくしたり、同じ姿勢を続けることで、筋肉がこわばるのを防ぎ、血流やリンパ液の流れ滞りを解消させる目的があります。そのため、柔らか過ぎるマットレスでは寝返りを力を込めて行わなければいけなくなるため、その度に睡眠が浅くなり、睡眠の質が低下してしまいます。
自分自身を整えること、周りの環境を整えること。これらのを改善していくことのよって睡眠は大きく変わってきます。
また、以下の動画でセルフケアを含め、より詳しく説明をしていきますので、よかったらご覧ください!