ストレッチは、実は・・・本当に奥が深いです。
ストレッチとは何かを一言で言い表すことなど、到底できません。
だからでしょうか。ストレッチで悩んでいる方は少なくありません。今回は、そんなつかみどころのないストレッチを優しく解説していきます。
まず知ってほしいことがあります。
身体を動かす前には本来ストレッチは 必要ないということです!
え〜〜〜!!!
……と、驚いてしまうのも無理もありません。解説の冒頭に衝撃の事実ですよね。でも、そこにはちゃんとした理由があります。それを説明していきましょう。
例えば、サバンナに住むライオンやチーターはすごく足が早いですが、ストレッチをしていますか?
……
していませんよね。
それでは筋トレはどうでしょうか。重いダンベルを持ち上げたり、腕立て伏せをしたりしている動物を見たことがありますか。そんな姿を見たことがある人はいないですね。
獲物がいる!!
そう思った瞬間、「まずはストレッチからだ!」とはならないのです。
いわゆる以下の画像のようにはならないですよね。
つまり、どういうことが言いたいかと言いますと・・・・
動きたい時に動ける体が動物の基本であるということ。
そうでないと生物学的におかしいといっても過言ではありません。
なのに、人間はストレッチをします。
なぜでしょうか?
その一つの原因が、ストレッチに関する間違った知識と認識です。
本来なら人間も、小脳がイメージをちゃんと描けていればすぐに動けるのです。
ですが、どうしてもストレッチをしなければ怪我をすると思われがちです。
ウォーミングアップの意義
でも、ストレッチが重要なときもあります。
……???
「ストレッチはいらない!」と言ったすぐ後で、ストレッチが重要だと言ったのだから、頭にたくさんのクエスチョンマークが付くのも当然です。
まずストレッチがいらないケースは運動の前です。運動の前にストレッチをしなくても体は動かせます。
でも、ウォーミングアップは欠かせません。その違いを理解することが重要です。
ウォーミングアップは動物もやっているの?
そうした疑問も一緒に出てくるでしょう。先ほど、動物はストレッチをしないと言いましたからね。実を言うと、動物も全力疾走に至る過程でウォーミングを行なっています。最初は軽く走り、徐々に身体を温めて最後に全速力に到達します。あのチーターでさえ、走っている途中から加速していくくらいです。スポーツも同じですね。試合開始から全力を出したければ、ウォーミングアップが欠かせません。
動くため。それだけなら、ストレッチもウォーミングアップも必要ありません。
だけど、全力を出したいスポーツの場合はウォーミングアップが重要です。この違いを覚えておいてください。
こんなストレッチはやってはいけない!
1、2、3、4、5……
運動前に腕を交差させて、肩を伸ばしたりしますよね。この運動は必要でしょうか? もうお分かりですよね。
そう、必要ありません!
ストレッチすると筋肉が伸びてしまいます。それだけを聞くと、良いことをしているように思いますよね。でも、良いことばかりではないのです。
例えば、肩の後ろの三角筋後部を伸ばしたとしましょう。ストレッチをした結果、普段とは違う筋肉になってしまいます。つまり筋肉が伸び過ぎるのです。ということは、同じ動作でも普段より動き過ぎてしまうということです。そうなると肩はびっくりしてしまい、今度はどこかの筋肉を硬くしてしまいます。
これ以上動くな!
そう指令を発して、肩の前の筋肉などを硬くしてしまうのです。その状態で肩を動かしてみてください。どうなると思いますか?
肉離れの原因になってしまうのです……
怪我をしないために行うはずのストレッチが原因で怪我をしてしまうとは、本末転倒ですよね。ではどうすればいいのでしょうか。
身体を動かす前にストレッチを行う場合は、動きを多く入れましょう!
ベストなのは促通系、つまり関節をちゃんと動かしてあげるストレッチです。歩きながら、身体をねじる動きなどは効果的です。
ただ静的なストレッチを行う場合は、注意をしなければなりません。身体を動かさず行うストレッチは筋肉を伸ばすということを意図的にやるので、実は怪我をしやすいのです。
クールダウンの方法
静的なストレッチが効果的な場面もあります。それが運動を終えた後のクールダウンです。
なぜ、効果的かと言うと……
筋肉が疲れているからです!
疲れた筋肉はどうなっていると思いますか? 実は、筋肉の中の繊維がプツンと切れてしまい、修復に必死です。
スポーツの後、身体が熱くなったりしませんか?
筋肉を修復するため血流を集めた結果、熱がこもるからなんです。その熱は外に逃がしてあげなければなりません。
だからクールダウンが重要なのです。
クールダウンのストレッチはゆっくりと長く行いましょう。目安は30秒以上です。余裕があれば1分半くらい行なってください。前の筋肉をストレッチしたら、後ろの筋肉もゆっくりとストレッチしましょう。
促通とは?
で、促通って何?
ストレッチの方法で登場したとき、詳しく説明していませんでしたね。とても重要なトピックスなので、最後に詳しく説明しましょう。
促通とは、関節がちゃんと動くように促すことです。例えば、アクシスツイストなどが促通に含まれます。
クールダウンのときはストレッチだけでなく、促通も効果的です。それだけではありません。ウォーミングアップやリハビリ系のストレッチにも有効です。
最後に今回の内容を復習しましょう。
ウォーミングアップは動的なストレッチ、クールダウンは静的なストレッチです。ウォーミングアップで静的なストレッチを行うと怪我の原因になります。小脳のイメージ以上に身体が動いてしまうことで捻挫をしてしまうのです。そうならないように、自然体の状態で関節を動かすなどして、身体を温めていきましょう。
ちなみに、リハビリのストレッチは、細かく設定されています。
その内容に則って、身体を動かしていってください。
ストレッチに対する間違った考えを改めて、効果的なストレッチを行っていきましょうね。